”憧れて弁甲船” ~~~~①
”俺は この島ば 出るぞ”!
おれはこの島ば出るぞ。
彼がひそかに心に決めたのは
昭和35年秋ジャガの取り入れ時であった。
中学2年の秋.
半年前に養父を亡くし途方にくれての
世間から見れば何のことはない小さな決断であったが。
本人にしてみれば かって
それ以前に この島に預けられたときに
一家が離散しなけければ. 生活が出来なかった時に.
小さいながらも 居直り決断を 経験したことがあった。
それに似ていた。彼は正直に 思ったどうすれば
この度重なる 不幸から 脱出できるのか。
どう生きれば 人並みに あまり悲しまなく
あまり苦労と思わなく 生きれるのか。
ひし ひしと 大人並の 決断を 残された。
湯島の 家族を含めて
13才の彼に世間は容赦なく迫って来る。
「"おれは 男ぞー"」・・・
彼は 声変り未完成のしゃがれた 低い声で
呟くように 吐き捨てた。
しかも 少し涙声でそれが13才の少年ができる
平俗社会から排除しようとする
運命えのせめてもの抵抗であった。
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